長崎県は東側を除く三方を海に囲まれ、その複雑な海岸線は多くの魚を育み、国内有数の磯釣りポイントになっています。
特に、西方海上に展開する南北九十九島を中心として、北は平戸や的山大島から南は大島・崎戸・大瀬戸、更に沖には五島列島など無数の島々が展開しております。
更にその南西約八十キロ沖の海上には、磯釣り師に「一生に一度竿を出してみたい」と言われる絶海の孤島「男女群島や肥前鳥島」など魅力ある釣り場が控えています。
対象魚も、上物釣りで人気のクロやチヌ・イサキ・真鯛・石鯛・ブリ・ヒラス・シイラ・カツオなど、多彩で記録的大物も夢ではありません。特に男女群島のオナガグロと口白石鯛は日本記録に最も近い釣り場です
このように恵まれた環境の中、私の場合上物に関してはチヌとクロを対象に、全遊動仕掛けを駆使して五島列島をホームグラウンドに釣行を重ねています。



ファミリーでの波止釣り(北九十九島・小佐々町)


四季釣魚式(道糸作動式)全遊動仕掛け

一般に、全遊動仕掛けは道糸の操作がうるさく、仕掛けを理想的に沈めてゆくのが難しい。
また、ウキ止めがないのでアタリが来ても、本当にウキが沈むか不安などの理由で、理想的な仕掛けとは分っていてもビギナーには敬遠されていました。
今から説明する全遊動仕掛けは、波の上下動を利用しウキと道糸、それに潜行板(水中ウキ)の作用により、難しい道糸操作なしで理想的に仕掛けを落として行ける釣法です。
また悪条件に比較的強く、あらゆるフィールドのいろんな条件下で使いこなせるよう工夫したのがこの仕掛けです。なお各パーツに関しては、私が使ってみて現段階では最高と思うものを紹介しておりますが、仕掛け自体まだ発展中で、今後更に良いものが出てくる可能性があります。
その時は順次お知らせいたします。(ここに紹介している製品についてはメーカーとは利害関係はありません)

仕掛けを作る上での基本的な考え方

仕掛けとは「シンプルであること」を最大の理想としています。結論から言うと「糸と針」があれば後は餌を付けるだけで魚は釣れます。
魚がスレていない頃はこれで十分だったのでしょうが、毎日のように釣人に攻められ魚が利口になり、警戒心が強くなってなかなか針に掛からなくなった今、大物を釣り上げるためには釣人も魚に負けない工夫が必要となってきました。
しかし不必要に多くのパーツを組み込むのは感心しませんし大変不経済です。あくまで必要最小限にこだわりましょう。

タックルについて

フィールド=五島列島  対象魚=クロ(オナガ・口太)40〜50センチ チヌ50〜60センチを基準としています

釣竿
長さが5.3メートル前後の磯釣り専用で、有名メーカーの国産竿1・25号〜1・5号(対象魚と好みによって1号・1.75号も可)を使用しますが、ここで注意して欲しいのは同じ1号の竿でもメーカーの設計理念により重さ・強さ・調子などがまったく違っていますので、竿選びは自分の釣スタイルが確定するまでは先輩や経験豊かな釣具店スタッフ(中には釣りを知らない、また経験が浅いスタッフもいるので注意)の意見を参考に、必ず現物を手に取って竿を伸ばして出来ればリールをセットして(リールをセットする際はリールシートに傷をつけることがあるので必ず店の人にして貰うこと)全体の重さや持ち重り感、曲がりや強さ調子などを確認して購入しましょう。
最近の釣具店は展示品の種類や在庫が少なく(メーカーが在庫調整しているケースが多い)、希望の品物がない場合がありますが、即カタログ注文ではなく(先輩等が同じ竿を使っていて確認できれば即注文OK)一回仕入れてもらって現物を見てから決定をするように店にお願いした方がいいですし、それをやってくれないような店ならその後のアフターサービスなどにも問題があるケースが多く、別の親切な店で買った方がいいでしょう。
参考までに現在、私の竿はメインがG社の「がま磯アテンダー1.5号53」 サブが「がま磯グレ競技スペシャルU1.25号50」予備竿にD社の「エーワン磯1号53」とD社の「メガフォース磯1.5号53」を持って行くようにしています。

リール
基本は3号の道糸が150メートル以上巻くことが可能で、出来るだけ軽くて小型それに堅牢でサビや傷に強いレバーブレーキタイプが良いでしょう。リールは大事に扱い釣行後にきっちりとメンテナンスしておけば結構長く(5〜10年)使えますので購入の際には予算が許す限り上級機種を選ぶようにしてください。上級機種は各パーツの材質に良い物が使ってあり挿入されているベアリングも多く回転もスムースです。さらに予備を購入する時は出来るだけ同じものを買っておけばスプールが夫々交換できて便利です。また後に壊れた時もパーツが共用できる利点があります。
私はD社の「トーナメントX2500LBC
」を2個使っています。

ウキ
全遊動仕掛けの浮きの役割には次のようなものがあります

@ 仕掛けを思った位置に的確に飛ばす
A 仕掛けを汐の流れに乗せて撒餌と同調させる
B 道糸と作用しながら付け餌を撒餌に近い速度で落とし込む
C 魚のアタリを釣人に知らせる
D 潮の流れの方向や速さ、その他諸々の潮の変化などを見る
E 仕掛けの状態を見る
F 付け餌の状態を見る

一個のウキにはこの様な沢山の役割があります。
この全てをカバーできるウキの選択は大変で私自身まだ完全なものは見つかっていません(おそらく生涯見つからないでしょう)。
しかし、現段階でより理想に近いウキとして愛用しているのがT社の「円錐E
X」というウキでオレンジカラーのMサイズ、浮力が00号・0号・G2号の三種類を使用しています。
このウキの特長は
視認性が良い このウキのオレンジカラーはとにかくよく見える、かなり沖まで流してもまた多少水面下に入ってもまだ見えています
操作性が良い 27X33mmという適度な大きさと約12グラムという自重は軽く竿を振っても良く飛びコントロールも安定しています
安定性が良い やや下膨れの円錐形の自立タイプ、水中ではどっしりと安定感があり多少の風ではポイントを離れません
糸滑りが良い 直径2ミリのラインホールには上部にメタルリングが装着してあり糸滑りは抜群です
堅牢性が良い ダンパーコーティングという塗装で強く岩にぶつけても塗装が剥げたり割れたりしない、とにかく丈夫です
バリエーションが豊富 私が使っているのは上記の3種類ですが実際には2カラー・3サイズに浮力は6〜11種でフルラインなんと52種類が揃っています
価格が安い 高性能・高価格化したウキの中でこれだけの性能を秘めて定価1200円は安いと思います

余談ですが、最近の磯釣り師のバックの中を見ると大きなプラスチックのケースの中に、それこそ棒ウキから円錐ウキ・飛ばしウキや水中ウキなどびっしりと揃えている人を多く見ます。「備えあれば憂いなし」と言う事でしょうが、1個千円から二千円もするウキをあれだけ揃えるとなると数万円はかかっています。
大きなお世話かもしれませんが一日釣をしてあの中で実際使っているウキはおそらく2〜3個でしょう。
私の場合ウキはライフジャケットのポーチの中に前述の円錐EXが3種類2個ずつで計6個と夜釣り用の電輝どんぐりが2個入っているだけですが、あらゆる気象条件でも十分に対応できると思っています。
いろんな釣りをこなしてきたベテランの方は別ですが、ビギナーのうちははいろんなデザインや種類のウキをとっかえひっかえ使うのではなく、気に入ったデザインのものを1種類・浮力の少ないもの(固定仕掛けや軽い仕掛けの半遊動及び全遊動用に0号かG2)と、やや余浮力のあるもの(水中ウキを使った半遊動や重い仕掛け用に2Bか3B)を各2個ずつ計4個(1個は予備)揃えてからいろんなフィールドや気象条件下で使ってみてください。
同じウキを使いこなすことによって、ちょっとした動きの変化で仕掛けの状態や流れの変化など、いろんな情報が分るようになりますし、そのウキの持っている長所や欠点が見えてきます、そうしたら次に欠点を補うにはどのようなウキがいいか分ってきます。その頃には釣りのスタイルも決まってきている頃ですから更にウキ選びは楽しくなってきます。そしてきっと貴方の強い味方になってくれるウキが見つかる筈です。

水中ウキ
道糸作動式全遊動仕掛けでは、潜行板(水中ウキ)が重要な役割をしています。詳しくは「仕掛けのメカニズム」の項で説明いたしておりますが、大きくは二つの役割があります。
ひとつは、潮流との抵抗により水中の仕掛けの浮き上がりを防止して、水上のウキ(円錐EX)と道糸を介して仕掛けを落とし込んでゆきます。
もうひとつは、、道糸にしっかり固定され仕掛けが瀬掛かりした時に、直結部分から糸が切れてウキ(円錐EX)がロストするのをかなりの確率で防止してくれます。
K社の「クッション水中ウキ」のイエローカラーは水中視認性もよく、さらに柔らかい特殊な材質により道糸を傷つけず、専用のヨージでしっかり固定でき、価格が安価(2個入りで200円前後)なので大変重宝しています。サイズは状況に応じてMとSを組み合わせて使っています(通常は上S・下Mの2個、凪の日は上下ともS、シケ気味の時にはM2個またはS・M・Mの組み合わせなど)
注意 1個のみ使用のときは上ウキのロストを防止する確立がかなり落ちますので、必ず最低2個使用してください

道糸
道糸作動式と呼ぶくらい、この仕掛けでは道糸の役割が大変重要な要素になっています。
つまり、この仕掛けは道糸と海水の抵抗により、魚のアタリをウキに伝えその反応としてウキが水中に引き込まれます。
また、通常流している時は同じく海水の抵抗で、ウキから下の仕掛けに張りを作って仕掛けをゆっくりと沈めてゆきます。
この二つのメカニズムを有効に働かせる為には、中層を漂うサスペンドタイプの道糸が必要となってきます。欲を言うと水面下2メートル前後を漂い、しなやかで糸滑りがよくしかも腰があり、癖が付きにくく風にヒラヒラしないで視認性がよくしかも海中では見えにくい更に劣化しにくく傷つきにくく安価(150メートルで1500円前後)・・・こんな道糸ないのかな・・・?
少し予算オーバーですがかなりいいものが見つかりました。その名は「全層沈めSP−インパルス」(メーカーは何処かなキザクラ?AGRES?)メーカーさん是非一色カラー(グリーンかホワイト系)も出してください。
なお、使用号数は2.5号〜3号です。

ハリス
ハリスは最近、各社共に品質のいいものが沢山出ており極端に安価なもの以外(50メートルで1500円〜2000円くらい)なら心配ありません。
むしろ竿を含めたトータルバランスに気をつけてください。
竿が1号で道糸2.5号の場合 ハリスは2号を中心に上は2.5号から下は1.75号
竿が1.5号で道糸3号の場合 ハリスは2.5号を中心に上は3号から下は2号が理想です。
私が使っているハリスは見えにくいピンクカラーのS社「トルネードSVTリミテッドエディション」を気に入って使っています。

釣り針
クロ釣り針は、最近の喰い渋り状況を反映して、小さいものが主流になりつつありますが(極端な例は1・2月の男女群島では昼間、45センチから50センチサイズのクロ(口太)釣りに3号程度の極少サイズの針を使います)、魚の喰い込みが良い反面やはりすっぽ抜けの確率も高くなってきます。
小針をうまく使いこなすコツは一発必殺のアワセは禁物です、ウキが入ったら柔らかく糸を張って誘いをかけ、クロの顔を沖または下(海底方向)へ向けてから竿に乗せ、喉の奥に入っている針を口元まで引きずり出して上あごにかける・・。こんなイメージで合わせるとすっぽ抜けも減ってきます。
現在、クロ釣り針は、各メーカーから多種多様に出ていますから好みに合わせて使ってください、サイズは4〜6号が中心です。
私は、トップレスコートの鋭い針先と、半スレでクロに口に刺さりやすいG社「ひねくれグレ」のひねりタイプ(4号から6号)を、状況に合わせて使っています。

チヌ釣り針は、大小よりも刺さりやすさと強度が求められます。
チヌ釣りは、仕掛けを底近くまで落とすため餌さもちのよさと、餌を目立たせるように比較的大きめのオキアミを使用し、そのため針も当然大きめのものを使います。
チヌという魚は歯がすごく丈夫で、口に掛けるとチヌ針の5号くらい簡単に噛み潰したり折ったりします(以前、長崎の三ツ瀬で釣った50センチのチヌは、4号のチヌ針を見事に噛み潰し口の皮1枚で上がってきました)。
アワセを入れるときは、少しタイミングを遅らせて十分に飲み込ませ、喉の奥に掛けるほうが良いでしょう。
ちなみに針は、G社の鋭い刺さりのトップレスコートでしかもユニークなホワイト塗装の「トーナメントチヌ」を、2号から4号まで使っています。

撒き餌の考え方・作り方
最近の大型クロは警戒心が強く、以前のように簡単には撒き餌につられて寄ってこなくなりました。
そのため、釣り人のほうから大型を求めて、沖の潮目や沖のシズミ瀬周りなどをダイレクトに狙うことが多くなってきました。でも仕掛けは理想的に飛んでも、撒き餌を上手に飛ばせなかったら釣りになりません。撒き餌もまとまりが良くて遠投が効き、しかも全遊動という仕掛けの性格上、軽比重で流れに乗ってゆっくりと拡散しながら沈んでゆくように作らなければなりません。
参考までに朝マズメから昼過ぎまでの半日釣りで、生のオキアミ2角に集魚剤2袋(例マルキューグレパワーV9+グレパワー遠投など)を使用します。
作り方は、解凍した生オキアミにグレパワーV9を全部入れて、水または海水で出来るだけオキアミを潰さないように混ぜてゆきます、さらにグレパワー遠投を半分から三分の二くらい入れて(残りの分は微調整用です)やや硬めに仕上げてゆきます。アンダーハンドで遠投してもバラケないならオーケーですが、この配分や感覚は何回も作っているうちに自分にあったブレンドの仕方が見つかるはずです。

チヌ釣りの場合は、手前から流し込んでゆくケースが多く、撒き餌も拡散性の高いものを中心に使用します。量的にはクロ釣りと同じで、半日釣りで生のオキアミ2角に集魚剤2袋ですが、チヌの集魚剤に多い重比重で足元に落ちる成分(貝殻・コーン・麦など)が多く含まれるものは避けています。また遠投用の集魚剤を使う場合はクロ用のもので結構です。
チヌ釣りの場合は、磯に着いたら先ずチヌのいそうな場所を探してください。足元の張り根・沈み瀬の位置・海底の駆け上がり・筏や生簀の位置などです。チヌはこういう場所に潜んでいますので潮の流れるラインと水深を計算して、撒き餌と一緒に仕掛けを流し込むと必ず喰ってきます。それでもチヌがいないときは沖から呼ぶ必要があります、沖に出てゆく潮を見つけ撒き餌を沖の方に広く拡散させ沖のチヌを呼びます(イメージはチヌ仕掛けの項に「全遊動釣り場攻略法」を載せていますので参考にしてください)。
撒き餌ヒシャクは好みでいいですが、時には風に乗せて20メートル近く遠投することもあり、あまり安物は性能が悪く遠投が効かないため、一般的な価格のもの(2000円から3000円程度)が性能もよくお勧めです。
撒き餌ヒシャクも同じものを使い込んでコントロールをつけてください。投げ方もオーバーハンド・アンダーハンド共に練習して使い分けの出来るようにします。撒き餌を正確に打てないと釣果に大きく差が出てきますので、出来れば同じものを2本(1本は予備)釣り場には持って行きます。
私の場合、現在はG社の「がましゃく まきーな競技スペシャル」の60センチを使用し近・中距離はアンダーハンドで、遠投はオーバーハンド、また風に乗せて超遠投する時はアンダーハンドで行っています。

刺し餌

刺し餌は、通常生のオキアミオンリーですが、使用する針の大きさでサイズを選択してください
私は、クロ釣りにはMサイズ・チヌ釣りにはLかLLサイズを使っていますが、この刺し餌ですが品質に優劣の差があり、表記のサイズにもバラつきがありますので注意してください。
以前は、白い発泡ケースに入ったものがそのまま使えて便利だし(特に夏場は上のほうから少しずつ融けて行くので鮮度が長持ちする)、品質も良かったので好んで使っていましたが、最近は表面だけにきれいな物を並べて、下のほうにはクズを入れているとしか思えないようなひどいものもある(箱が不透明な上、凍っているので表面だけしか見えない)ので、箱物はやめて、ビニール袋に入って中が見えるカット物を使うようにしています。

オキアミの装着法は基本は「尻尾落とし」で使用し喰い渋りにしたがって「尻尾・頭落とし」「半剥き身」「剥き身」と変化してゆきます。また刺し方は尻尾の方から刺して「背がけ(逆反り状態)」「腹掛け(通常の状態)」と頭から刺す(頭落としの時)「背がけ」「腹掛け」でこの方法は比較的遠投にも強く餌が外れにくい刺し方です。同じ刺し方で喰いが落ちた時には逆に刺してみてください、効果的です。またあまり使用しませんが他に「2匹がけ」や「房掛け」などもあります。

仕掛けの作り方と変化の例

「図T」の「基本仕掛け」が道糸作動式の全遊動仕掛けです、勿論道糸にはウキ止めは付けていませんが、慣れないうちはリミッターとして想定水深(ここまで沈めたいという目標点)のところにウキ止めをつけてもかまいません。
ウキは説明の通り「円錐EXオレンジMサイズのG2」で、クッション水中は上がイエローのS・下がイエローのMで、離す間隔は10〜12センチで結構です。ハリスは約2ヒロ(2・5メートル)とり道糸とハチの字結びで直結します。ガンダマはG5をハリスの結び目の下10センチの位置に打ち、後は潮の状況でずらしたり個数を変えたりして調整してください。
「二段ウキ仕掛け」に変えたい時は、一旦ハリスを切ってクッション水中をはずし、からまん棒とアタリウキをセットして再度直結します(ほとんど全遊動で対応できるため必要ないかも)。また強風や逆風・二枚潮などで仕掛けが入らなかったり流れから外れる時は円錐EXをMサイズの00号に変えてウキごと沈めてください。これが「全遊動沈め釣り」です、仕掛けが海中に入ったらウキが見えなくなりますので、右手(竿を持つ手)で竿尻を脇に挟んで抱え込み、左手(ハンドルを巻くほうの手)でリールのベールを起こしてフリーにし、道糸を軽くつかんでスプールから出しながらパラパラと送ってください(糸を張りすぎないよう注意して)。アタリはクロは左手の糸が走った瞬間竿の乗ってきます。チヌは少しスピードが遅く左手の糸が走ったら糸を強く握って止め竿に乗った時点でアワセを入れます。

仕掛けの動作メカニズム
道糸作動式全遊動の基本仕掛けは、投入後、道糸を緩め気味(多少フケ糸を与えた方が効果的です)にしながら流してゆくと、「図U」のように仕掛けの浮き上がり防止につけたクッション水中と、上下する波動運動で持ち上げられる上ウキの作用により(図Uの@とAを比べると、@の状態より、波動運動で上ウキが持ち上げられた分Aの状態の方が上ウキとクッション水中の間が広がっている、さらにAの状態からBの状態を見ると、波の谷で上ウキが下がった分、クッション水中との間隔はそのままに、仕掛け自体が沈んでゆく)@からBまでの動きを繰り返しながら、仕掛けをゆっくりと沈めて行きます。
基本仕掛けの状態で竿1本半(7から8メートルまでは沈みますが、更に深く沈めたい時はガンダマを大きくするか数を増やしてください)


アタリとウキが入るメカニズム
魚のアタリでウキが入るのは「図V」のように仕掛けを流している状態@ではサスペンドタイプの道糸(理想は水面下2メートル前後)はフケを持たせているので水面下()点にあります。
魚がアタリ仕掛けが下や横に引っ張られると糸(道糸からハリスまで)は全体的に一直線に伸びようとしますが(A)点の道糸は海水の抵抗があるために水面上には上がらず水中の状態を維持します。
その結果、逆に()点の道糸が伸びてAのように海中に引き込まれる時に上ウキも一緒に海中に入って行きます。これがアタリで思った以上に鮮明なウキの変化が見られます。

アドバイス
全遊動仕掛けは、「固定仕掛け」や「半遊動仕掛け」に対して、アワセのタイミングがやや遅れてウキに出ますのでチヌ釣りには問題ないのですが、クロ釣りの場合は、針を飲み込まれるケースが多いので針の形状や大きさ、アワセの方法などを工夫して、クロの歯によるハリス切れを防ぐように注意してください。
一番簡単な防御策は、1匹釣るごとにハリスを点検し少しでもクロの歯でザラついていたら、こまめに切って結び直すことが肝心です、そのためにハリスも少し長めにとっています。